山海の幸、人の幸、美食家垂涎の味に酔う。
偉人が見染めた名湯に、身も心もときはなつ。
温かなもてなし、旅情あふれる湯の里の宿。
旅の想い出に彩りを添える、郷土の逸品。
目にも、体にも、心にも、感動サプライズ。
歴史と風土が織り成す、感激のひととき。
思いは深く、この地を愛する情熱人たち。
後世に語り継ぐ、豊浦ゆかりの偉人列伝。
未来を繋ぐ、世界的建築家と川棚・豊浦の絆。
2020年、東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場。「杜のスタジアム」をコンセプトに設計されたこの競技場は、木材と鉄骨のハイブリッド構造の大屋根をはじめ、日本伝統の建築材である木材を大胆に活用。その一方で、ソーラー発電システムを導入するなど、伝統と革新を高次元で融合しながら、周辺の環境と自然に調和する建造物として国内外で大きく注目されています。そして、このスタジアムの設計を手掛けたのが、世界のアーキテクトシーンの第一線で活躍する隈研吾氏です。 1954年、神奈川県に生まれた隈氏は、1964年の東京オリンピックの建築群に感銘を受けて建築家を志すことに。東京大学工学部建築学科を卒業した後、大手設計事務所、コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員を経て、1990年に隈研吾建築都市設計事務所を設立しました。90年代、ポストモダン建築で一躍脚光を浴びた隈氏は、2000年代に入ると木を多用した革新的なデザインにより「和の大家」として高い評価を獲得。その卓越した手腕は、国内はもとより、海外でもいかんなく発揮されています。 1964年の東京オリンピックで建築家を志した青年は、2020年のオリンピックで自らの才能を鮮やかに開花させていく―。そして、この世界を魅了する建築家のDNAは、本州最西端に位置する下関市・川棚の地にも脈打っているのです。
Photo © J.C. Carbonne |
建築家 |
世界的な建築家と川棚・豊浦との蜜月。それは、2003年に完成した「安養寺阿弥陀如来坐像収蔵庫」からはじまりました。地元では“安養寺の大仏”の名で親しまれている12世紀(平安時代後期)の木造阿弥陀如来(重要文化財)の遷座にあたり、隈研吾氏が新たな収蔵庫の設計を手掛けたのです。川棚・豊浦地域でよくみられる土壁だけの柱のない蔵や塀の版築構造からインスピレーションを得たという隈氏は、収納庫の外壁に日干しレンガ1500個を積み上げて作る日本初の工法を採用。重厚な中にも洗練が息づく造形は、自然豊かな川棚の景観に美しく寄り添い、環境との共生をめざす隈氏の思想を美事に具現化したものでした。 そして、「安養寺阿弥陀如来坐像収蔵庫」で結ばれた隈氏との絆は、川棚に新しい息吹を吹き込みます。それが、隈氏の設計によって2010年1月に完成した「川棚の杜(下関市川棚温泉交流センター)」です。住民自らが地域経営に取り組むために設立した「川棚温泉まちづくり株式会社」。その前身である川棚温泉まちづくり協議会の熱烈なラブコールに、世界的建築家が応えたのです。
ⒸPhotography by Daichi Ano |
川棚の観光拠点を担う複合交流施設「川棚の杜」。その設計にあたって隈氏が掲げたコンセプトは<豊かな自然と呼応するオーガニックな建築>でした。大小さまざまな三角形で構成された外観は、山裾から海へと延びる川棚のなだらかな地形に溶け込む有機的なデザイン。複雑な多面体が生み出す陰影に加えて、各面にかすかに異なった3色の塗り分けを施すことで、一日の光の変化に伴って多彩な表情を放ちます。さらに、外壁は「豊浦標準砂」や「柱のない土塀の蔵」など、豊かな土の文化を誇る川棚の「土」や「砂」の雰囲気を精緻に再現。その佇まいは、種田山頭火を魅せたなだらかな鬼ヶ城連山のようであり、アルフレッド・コルトーが愛した厚島のようでもあり。まさに、川棚の美しい自然を抽象化したフォルムと呼べるものです。 建物の内部は、環境の連続性を建築内部にまで導くため、「コルトーホール」と命名した音楽ホールをはじめ、「下関市烏山民俗資料館」、「観光交流センター」は、機能のまとまりを床のレベルでつくりながら全体をひとつながりの空間として設計。人々の集いと交流を促す隈氏ならではの独創のアイデアが隅々にまで息づいています。そして2012年、「川棚の杜」は、日本建築学会からエントリー作品の中で最も優れた作品に贈られる「日本建築学会作品選奨」を受賞。川棚の住民の情熱と建築家の情熱のコラボレーションが大きな栄誉をもたらしたのです。
川棚の杜について詳しくは
▶川棚の杜
http://www.kawatananomori.com/
▶隈研吾建築都市設計事務所
http://kkaa.co.jp/news/shimonoseki-shi-kawatana-onsen-koryu-center-kawatana-no-mori-1/
http://kkaa.co.jp/news/shimonoseki-shi-kawatana-onsen-koryu-center-kawatana-no-mori-2/
http://kkaa.co.jp/news/shimonoseki-shi-kawatana-onsen-koryu-center-kawatana-no-mori-3/
http://kkaa.co.jp/news/shimonoseki-shi-kawatana-onsen-koryu-center-kawatana-no-mori-4/
「川棚の杜」の完成により、その絆を揺るぎないものとした隈氏と川棚。同施設の杮おとしではコルトーホールにて「隈研吾トークショー」を開催。隈氏自らが川棚の魅力を再考しながら、建築がまちづくりに果たす役割などを紹介し、多くの聴衆に感動と新たな力を届けました。以来、この世界的な建築家・隈氏は、多忙を極める中にあっても川棚を度々来訪し、まちづくりのプロデュースにより深く関わっていくようになります。 そして、「川棚温泉まちづくり株式会社」では、隈氏との二人三脚のもと、未来を見据えたまちづくりプラン<「川棚・豊浦の物語」でつなぐ「里庭のまちづくり」>を策定しました。これは、青龍伝説、毛利侯、山頭火、コルトーをはじめとする豊富な歴史資産と、なだらかな山と島に包まれた風光明媚な自然環境とをベースに、川棚・豊浦を庭園のように回遊できるまちづくりをめざすものです。美しいまちには人が集まり地域の経済が活性化します。住民とともに川棚・豊浦の未来のグランドデザインを描いていく隈研吾氏。住む人にも、訪れる人にも、やさしくここちよいまちづくりはいよいよ始動。隈氏の蒔いた未来の種子は芽生え、川棚・豊浦は新しい歴史を力強く刻みはじめるのです。
隈先生とのワークショップ | 川棚の杜完成前見学会 | 「隈研吾トークショー」 |
「隈研吾トークショー」 | 川棚温泉まちづくり計画 ミーティング | 川棚温泉まちづくり計画 ミーティング |
世代を超えて人々をつねに魅了し続ける隈研吾氏の建築は、川棚・豊浦はもとより山口県内にも数多く存在。いずれも、隈氏ならではの研ぎ澄まされた感性と卓越した機能美が凝縮し、国内外でも高い評価を獲得しています。
山口県山陽小野田市大字小野田760
瀬戸内海を一望する焼野海岸に建つレストランは、 “日本夕陽百選”に選定された美しいロケーションを最大限に採り込むために客席をガラスで覆った独創的な構造。海風や景色を遮断しないように内と外を隔てる壁には多孔レンガを用いるなど、自然を呼び込むアイデアが細部にまで息づいています。
山口県山陽小野田市大字小野田7534-4
工芸教室などの体験学習を通して、小野田市の産業の礎となった窯業とガラス文化の伝承を担う施設。延べ床面積520平方メートル、鉄骨平屋建ての白亜の建物は、海に面した南側を全面ガラス張りにすることにより、海と連続する明るく爽やかな室内空間をもたらしています。
山口県下松市生野屋南1-13-1
「高齢者の心やすらぐ家」をコンセプトに設計された建物は、外装に木をはじめとする自然素材を多用して温かな雰囲気を増幅。内部は共同生活室を挟んで両側に個室を配置したシンプルな構成とすることで、入居者の動きを把握しやすく安心して介護のできる環境を実現しています。
山口県光市虹ヶ浜3-6-1
人と自然にやさしい出産と子育てを目指した医療で、ユニセフから「赤ちゃんにやさしい病院」に認定された産婦人科病院。木を多用したぬくもりのある外装をはもちろん、内装には世界的グラフィックデザイナー・原研哉氏による室内サインを設けるなど、内外ともにやさしいイメージが造り込まれてます。
山口県岩国市周東町獺越2128
獺祭で世界的な知名度を誇る旭酒蔵の本社直売所。築百年を超える古民家に「ルーバー」と呼ばれる細長い板を張り巡らすことで、周囲の豊かな自然に溶け込みながらも鮮やかな個性を放つスタイリッシュな外観を実現。内装に和紙などを多用することで、伝統とモダンが融合する心地よい空間を叶えています。
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